丸々とした大玉。初夏にはたまねぎが旬を迎えます。
秋に撒かれたたまねぎは、日に日に寒くなる中、畑をおおったビニールの穴から芽を出します。発芽のためにはエネルギーが要るのでしょう、土が温かい必要があるのです。ひとたび発芽すると、寒さや暖かさにさらされます。気温の差が野菜の甘さを引き出します。数ヶ月すると葉の成長が止まり、養分は根に蓄えられていきます。たまねぎが土の中で育っていくのです。そうして約半年。土の中でゆっくり養分を蓄え大きくなったたまねぎは、葉が倒れる初夏に収穫されます。貯蔵もしやすいので、この時期農家の軒先でさおに掛けられ日陰干しをする懐かしい光景も時折見かけます。
明治時代に日本に入ったたまねぎは、当初、刺激的な匂いから普及に時間がかかりましたが、その辛味と甘みが肉類と相性もよく、透明な白さもほかの食材と調和するので、いつの間にか和食に取り入れられました。煮たり焼いたり揚げたり料理のアクセントにもと広く使われます。そんなたまねぎ、今では日本人の最も好む野菜のひとつとなりました。