春:竹の子

今年は例年通り出てきた鎌倉の竹の子たち。待っていました。
土の中で生まれた竹の子は自然のうまみを抱きかかえ、皮で幾重にも包まれて芽を出します。市場に並ぶものは朝掘られ、力強く、若々しく、そして愛らしい。根元に残る土も乾いていません。

 そんな竹の子を鉢の木ではこの季節、山家煮(やまがに)に使います。山家煮は東北地方の郷土料理がもとで、季節の食材を味噌で煮たもの。少し濃い目の味です。この料理は素材の抱えているうまみを引き出すため、下ゆでせずに水からコトコトと数時間かけて直煮(じかに)します。だしはこの野菜自身のうまみと昆布とだけ。甘味がじっくり煮出されて、なんともいえないおいしい煮汁(地)ができるのです。食べる相手の好みの硬さを考えながら、この地を使い3種類のあわせ味噌で竹の子に味をしっかり染み込ませます。同じく地と味噌で味付けしたわかめや油げと合わせ、彩りの水ふきを加えた、鉢の木オリジナル春の「山家煮」。創業以来40年近く続く味をどうぞお楽しみください。

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